小野恵令奈天上天下唯我独尊疑惑

 お題シリーズ第二弾は「好きな芸能人」。めーたんあたりが、水野あおいとか言うんじゃないかとハラハラしたが、普通だった。
 そして、この手のお題では必ずこれ↓を言うヤツがいるんだ。だけど、それがKチームではえれぴょんだったことが、私には大きな驚きだった。
「わたしは、好きな芸能人とかが、ほんとにいないんですよ。ほんとなんですよぉ。将来、好きな芸能人って聞かれたときに、小野恵令奈って言われるような人になりたいです」
(一言一句正しくはない。記憶)
 口調は、あくまでもふにゃふにゃアセアセした言い方で。やるもんだと思った。
 ふつうこういうことを言うヤツは、ちょっとギラギラしたキャラであることが多い。Kチームでなら、本来は秋元とか梅田あたりがこれを言うというのが、ありがちな展開な気がする。だが今日、よりによって、いちばん頼りなさげなロリアイドルキャラで通しているえれぴょんが、この一番アーティストです的コメントを発してしまった。これはもしかすると、Kチーム内のバランスにとっても大きな一石を投じた出来事だったかもしれない。
 言うのは勝手だと冷笑するのは自由だ。そしてそれも一理ある。だがこの手のコメントは、一度だれかが言ってしまったら、グループ内のほかの子はもう言えなくなってしまうのも事実である。たとえ自分がどんなに強くそう思っていたとしても、もはやそれは、二番煎じとしか受け止めてもらえないからだ。
 素朴な疑問だけれど、こういうお題って、誰が何を言うかって、ダブったりしないようあらかじめ互いに調整したりするんだろうか? この手の答え、すなわち「いません」「私がそうなりたい」ないし「私を好きです」系は、2人いるとそれこそバチバチかぶる。だけど1人いると、その1人がすごくキャラ的に目立つことができる、たいへん「おいしい」役である。希望者が複数いたとして、調整するとしたら難航するに違いない。だからきっと、調整などはナシに、それをいいことにえれぴょんはみんなをだしぬいたのだろう。
 私の前に私はなく、私の後に私はある。えれぴょんはこの大きな自負を、Kチームの誰にも先んじて宣言した。しかも、Kチーム公演が1週間終わるか終わらないかのうちにである。まだKのみんなが、振付とかテーマだけを追うことに汲々としているとき、えれぴょんはその次にあるもの、もしかすると芸能人としては最終的には踊りなんかよりもっと大切かもしれないものに、真っ先に手をつけたといえよう。
 考えてみれば当然である。もうスタートのピストルは鳴らされているのだ。そして、「お題」という、これまでの数日にはなかった、自分のキャラをアピールする絶好の場が、昨日からすでに与えられているのである。どう使おうがメンバー個々の自由なのだ。あなたは何であるか、ここで存分に見せなさい、と言われているのである。
 その機会を誰より早く、そしてまったく仮借のないやり方で、えれぴょんは遺憾なく効果的に活用しただけのことである。一見ほえほえしたマイペースなキャラの中に秘めた強さと野望。あのちっちゃな胸のなかに、きっとあるだろうなとは思っていたが、やっぱりあったことがはっきり見えた、えれぴょんの大きな夢。私はファンとして小野恵令奈に惚れ直した。